前回は、脳梗塞に関して詳しく説明していきました。
「脳梗塞」は脳の血管が詰まることで起こりますが、今回は脳出血に関して説明していきます。
脳出血とは
脳出血とは、脳内にある血管が破れ脳内で出血することを言います。
脳内で出血した血液は、脳内の狭いスペースに溜まるため、脳細胞を圧迫します。
身体に症状が出るのは、この脳細胞が圧迫されることが原因です。
脳出血の原因とは
一番の原因は、高血圧と言われています。
高血圧に関してはのブログで詳しく説明しておりますので、
知りたい方はこちらをご確認ください。
高血圧は、血管に負担がかかります。それが長年続くと血管は脆くなり、
脆くなった場所から出血します。(特に太い血管より細い血管が脆くなりやすいです。)
脳出血の種類
脳出血の種類は5つあります。
①被殻出血(ひかくしゅっけつ)
被殻とは、大脳の奥深くのところに左右対称であります。
高血圧の方に最も多く見られる出血になります。
②視床出血(ししょうしゅっけつ)
視覚、聴覚、体性感覚などの感覚情報を大脳へ中継する重要な役割を担う場所になります。
脳出血の中でも3割程度が視床出血と言われています。また高齢者に多いのがこちらです。
(体性感覚:痛みや温度など肌で感じるものや、間接をどれくらい曲げているかなど感知する)
③小脳出血
小脳は身体のバランスや動作を微調節しているところです。
合併症として、水頭症になる可能性があります。
水頭症の詳しい内容は次の項目にある「症状」の部分でご確認ください。
④橋出血または脳幹出血(きょうしゅっけつ、のうかんしゅっけつ)
心臓を動かす、食べ物の消化を促すなど大脳から小脳へ連絡するなど重要な役割を担っています。橋出血(脳幹出血)は発症する人は少ないが、発症した場合は重症化しやすい場所になります。
症状について
脳出血で多く見られる症状は、麻痺、しゃべりにくさ、頭痛などです。
また頭痛が悪化して、めまいや嘔吐などを発症します。
※出血場所や出血量によって症状は変わってきます。
必ずしもこちらに記載している症状のみではございません。
運動麻痺
出血した脳と反対側の体や手足が動かしにくくなったり、手先の細かい作業や足首が動きにくくなることもある。
片麻痺
身体片側(半身)の手足に麻痺が起こる。麻痺が起こると感覚が鈍くなる、しびれがでる、突然動かせなくなる。
顔面神経麻痺
片側の顔面の口角が下がる。口角が下がることで、口が完全に塞がらず、水が口からこぼれる。また片側のまぶたが完全に閉じなくなる。
四肢麻痺
左右の手足が動かない状態
感覚麻障害
身体の五感である視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などに影響がでる。触覚や痛みは、鈍くなるまたは過敏になりしびれを感じる。
言語障害
言語障害には大きく分けると2種類ある。
失語症
大脳の言語をつかさどる部分が損傷すると言葉の障害が起こる。
失語症と聞くと「聞く」「話す」だけができなくなることを想像するが、「読む」「書く」といった動作にも影響がでることがある。
【1】運動性失語(ブローカ失語)
「話す」だけでなく、「書く」能力も失われていることが多い。
運動性失語(ブローカ失語)は、相手の話は理解できるが、自分自身が話す際にたどたどしくなってしまう。話す量は少なく、決まった短い単語を話す。
【2】感覚性失語(ウェルニッケ失語)
話す能力よりも聞く能力が低下するため、話を理解することや、文字を読むことが難しくなる。
そのため、相手の話が理解できず、違う回答をしたり、意味を持たない言葉(ジャルゴン)を発するため話が成立しない。 (ジャルゴン:無意味な言葉の羅列)
その他にも錯語や語性錯語が見られる(錯語:「携帯」を「鉛筆」のように言い間違える)(語性錯語:「携帯」を「けいてい」のように発音を間違える)
【3】全失語(運動性失語+感覚性失語)
「聞く」「話す」「読む」「書く」の全ての能力が無くなる。
話す意思はあるものの、「えー」や「あー」などの意味のない言葉がでる。残語もみられる。
(残語(ざんご):例えば「今日は何をして過ごしたの?」と聞いても「やだ、やだ」など同じ言葉を繰り返し、会話が成立しない)
②構音障害
構音障害とは、言葉が出るがはっきりしない(ろれつが回らない、舌がもつれる)
口唇、舌、咽頭、喉頭などの障害を受けた部位によって正しく発音できないなどが起きる。
視床痛
出血した反対側の手や足などに痛みが出現する。
ふつうの痛みと異なり、表現しにくい痛みで、耐え難い持続痛や発作痛な痛みが起きる。
意識障害
合併症である「水頭症」を発症することで、意識障害が起きる。
水頭症
視床は脳室と接しいているため、出血した際に脳室内に流れ込むことがあるため、水頭症が発症しやすくなる。
脳は頭蓋骨に守られているだけでなく、脳脊髄液という中をプカプカ浮いている。
そうすることで外から衝撃があってもクッション的な役割を担っている。
脳脊髄液は、脳室と呼ばれる場所で作られており、脳から仙骨までを流れている。
脳出血が起こり脳室内に流れ込んだ血液が脳室の入り口や脳から仙骨のどこかで固まり、塞がることで脳脊髄液が溜まってしまう。
溜まることで脳室が拡大し、右脳や左脳を押し付け、結果として色々な障害がでる。
歩行障害
足が上がらず、足を引きずりながら歩く、小刻み歩行(歩幅が小さくなりちょこちょこ歩く)など
平衡障害
真っすぐに立つこと、歩くことができない。歩き続けることも難しくなる。
半盲
右半分や左半分が欠けて見える状態
眼球の内下方偏位
鼻先を見ているような下向きで寄り目になっている。
めまい
めまいが出ると歩けない、ふらつき立っていられないなど
眼振
眼球が痙攣したように動いたり揺れたりすること
対処方法
①頭を高くしない
頭を高くしてしまうと脳への血流が悪くなってしまうため、横に寝かせる
②気道の確保
初期症状で嘔吐などがあり、嘔吐物で気道が詰まる可能性がある。
気道を確保するために横向きに寝かせる。
③着用しているもの
洋服やメガネ、またこのご時世がらマスクをしている場合、
外せるものは外し、洋服などは緩める。
④安全な場所に避難
家の中でも狭い場所や外であれば道路など危険な場所で倒れてしまう。
その場合は、担架や近くにない場合は布団などを活用し、日陰で風通しの良い安全な場所に移動。
倒れた後本人が歩いて移動するのは危険のため必ず横になってもらい運ぶようにする。
上記のことは大切になりますが、まずは救急車を呼んだ上で対応する大切になります。
まとめ
脳出血の一番の原因である高血圧は、塩分の摂取量などが理由です。
どうしても日本人は、調味料で使用する醤油や味噌、またご飯のお供として
梅干しや漬物など塩分量が多い食べ物が身近にあります。
体に不調が出ないと気を付けることはなかなか難しいですが、
生活習慣病などの積み重ねで、大きな病気を発症してしまうため生活習慣などを気を付けていくことが大切です。